ゲームを制作して1年強が過ぎました。
早いものです。本当に早い。
その間に当サークルも4作品を世に出し、
過去に自分が好きになったエロゲを振り返ったり、
新作で惹かれた作品に触れてみたり。
いろいろとしていくうちに、
「ゲームにおいて、シナリオを楽しんでもらうにはどうしたら」
というものを少し考えてみたのです。
今回は、そんなグダグダな考えを
「起承転結」という点を起点にすることで
つらつらと書いてみたいな、と思います。
「起承転結」とはストーリーの流れである
そもそも、起承転結とは。
ここからハッキリさせておきたいですね。
現代日本での起承転結とは、
『文章や物語の構成法であり、四部から成る構造を指す』
(出典:weblio辞書)
ですね。
- 「起」で話が提起される
- 「承」で話が展開する
- 「転」で話が深くなる
- 「結」で話を締めくくる
という4つで物語が構成される、という考え方です。
これをエロゲーでも適用できないか、というのを
考えていました。
ゲームの起承転結≠シナリオの起承転結
そして考えたのは、
「ゲームにおける起承転結とは何か」です。
世界やキャラを作りたい自分は、
どうしてもこれを同一視しがちだからです。
しかし実際には、ゲームを起動すればスタート画面と音楽が流れます。
「はじめから」というボタンを押し、暗転するウィンドウ。
いよいよゲームの画面に切り替わる…
さて、既にここで違いが出ています。
「シナリオ」の起承転結はまだ始まっていない段階ですが
「ゲーム」の起承転結はこの時点で既に始まっています。
つまり、ゲームの起承転結とシナリオの起承転結は
似て非なる物である、という仮説が成り立つのです。
ここを、クリエイターは意識する必要があるでしょう。
シナリオは没入させるための枠組みである
ゲームにおけるシナリオとは、
ゲームの骨格やテーマであり
ゲームをプレイするための入り口となります。
どのような世界に入り、何を目指すのか。
そして目標を設定し「早くクリアさせろ」と
プレイヤーを動機づけることが第一の目標です。
つまり、プレイヤーに
「このゲームの中で動きたい」と思わせることが
シナリオにとって非常に大事になります。
遊んだことのない世界。
ある程度知ってるけどこれまでと違いそうな場所。
知ってる場所のはずなのに違う側面を覗かせる空間。
プレイヤーにはシナリオの「起」と「承」を見せて
物語の流れに取り込むことができれば
シナリオは一つの大きな目標を達成したことになります。
ゲームとは小さな起承転結の「繰り返し」
さて、一度シナリオから離れて
ゲームパートについてを見ていきましょう。
ゲームにおける起承転結とは何か。
実に幅広い答えになってしまうのですが、
ゲームにおける起承転結とは
「プレイすることそのもの」です。
ボタンを押して、キャラクターを操作すること。
画面上の敵を倒し、経験値を得ること。
ステージのボスを倒し、クリアすること。
ステージクリアを重ねて、章を進ませること。
これらがすべて、大小の「起承転結」の繰り返しです。
「プレイ」というのは、この小さな起承転結を積み重ねて
大きな結果にたどり着くことを指します。
さて、お気づきの方もいるかもしれませんね。
この小さな起承転結がシナリオと嚙み合った時、
プレイヤーをどんな気持ちにさせられるでしょうか。
没入した時、プレイヤーは物語に「関与していく」
シナリオという、静的な作り手が与える枠組み。
プレイという、動的でプレイヤーが動く仕組み。
これらがかみ合ったとき、
シナリオが分岐するとどうなるか。
プレイヤーが物語やゲームの世界に
「関与していく主要人物」となります。
その世界の運命を左右する。
固定されたシナリオを入り口にしたはずなのに、
その中でのプレイヤーの行動がシナリオに影響を与える。
プレイヤーが面白がるのは、
こうした「関与する」という体験だと思います。
ゲーム体験とは「上の階層」に関わらせること
先ほど「関与する」という表現をしましたが、
この「関与する対象」が大きくなることが楽しい。
関与する対象とは、以下の3つの起承転結を指します。
- プレイヤー体験としての起承転結
- ゲームの構造としての起承転結
- シナリオの起承転結
1をくり返すことで2を動かす。
2が積み重なることで3が動いていく。
自分がシナリオに関与している。
これがゲームを遊ぶ中で
シナリオを楽しんでもらうために
必要な構造になるのだと思います。
起承転結の繰り返しが「シナリオの一部」になる
こうしたプレイヤー体験の起承転結の繰り返しが
「シナリオの一部」になった瞬間が、
プレイヤーのシナリオ体験を強烈にします。
「自分こそが物語の重要人物なんだ」という感覚。
この感覚は非常に強烈です。
それこそ、プレイヤーが主人公になる瞬間です。
達成感に浸らせてもいい。
後悔を味合わせてもいい。
一つ一つの選択に意味を感じさせるのが大切です。
「もう一度挑んでやろう」
楽しんでくれたプレイヤーは、
同じシナリオに対してそう感じてくれるはずです。
まとめ
ゲームのシナリオを楽しんでもらうには?
この問いに対して「起承転結」という考えで
つらつらと考えてきました。
- シナリオで没入させて「プレイ」に導入する
- 「プレイ」の起承転結を繰り返させていく
- 繰り返しを「シナリオ」に影響させる
こうした3つにまとめられる考えになりました。
こうした流れを持つゲームを作るのは
物凄い労力を要する作業の積み重ねです。
ゲーム制作が総合芸術になるわけです。
でも、作る中でこうした気づきを得られるのも
非常に面白いし意義深いと思います。
これからも、ゲーム制作を続けて
いろんな方にハピネスを届けていきますね!!
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